26 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう [sage]:2007/07/29(日) 13:57:24 ID:zGmL4vpLO
幼稚園の頃、母の実家に遊びに行った時の事。
その家は母屋と別棟が少し離れていて、私たちは別棟に泊まっていた。
ある晩、玄関をノックする音がするので
「誰?」と聞いたが返事が無い。インターホンを押して「はい」と言ってみたがやはり返事が無い。それなのにまたノックの音がする。
変だな、と思いながらドアを開けると、その当時飼っていたフジという雑種犬がビスケットの包みをくわえて座っていた。ノックは前足でしたらしかった。包みにはよだれも牙の跡も付いていなかった。
内線電話で母屋のお祖母ちゃんに
「今フジが来たけど」
と話したら
「ああ、お前達に菓子持ってけ、って言いつけたんだよ」
と事もなげに言った。
犬はある程度の言葉を解すとは思うが、ビスケットの包みを汚さず、壊さずにそっとくわえ、きちんと玄関前に座ってノックをする犬は子供心にもかなり不思議だった。
フジは非常に賢い犬だったが、ある日突然ふらりと現れたのだという。その後またある日突然いなくなった。
しばらくして離れた街で車に乗っている時に祖父が見掛けたという。
「フジ」と声を掛けると懐かしそうに尻尾を振ったが、そのままどこかへ走り去ったそうだ。


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