28 名前:本当にあった怖い名無し:2007/09/20(木) 14:17:35 ID:PG3FOxau0
小さい頃団地に住んでいた。結構大型の団地でまるで一つの町みたいだった。
小さい頃だったから余計大きく感じたんだと思う。団地の周りは大通りで
車やトラックが沢山通る。危ないので団地の外で遊ぶことは禁止されていた。

小学校1年生くらいの頃だろうか。その日もいつものように友達と遊んでいた。
その日はおままごとをした後、誰かが探検しよう、と言ったので団地のあちこちを
まわることにした。公園や小さな山、山とフェンスの間の秘密基地、駐車場のそばの
小さな広場、坂、集会所の前、いつも通りなれているせまい通り、そこを抜けると
自転車置き場のはずだった。ひょこっと顔を出した。その時ふっと排気ガスのにおいがした
そして我が耳を疑った。車の通るやかましい音、工場から聞こえるカンカンカンという音
目の前をトラックが通る。大きな建物が見える。母親と買い物に行ったときに
目にした景色に似ている。ただ確実に何かがおかしい。だってあんな高いビルは
団地のそばに無いはず。ここは一体どこなんだろうか。横から顔を出している友達も
不思議そうな顔をしている。後ろのほうにいる友達は「どうして先に行かないの?」
といぶかしげな様子だった。とにかく気味が悪いと言うより団地の外に出ては
叱られるので引き返すことにした。それと、なんとなく先に進んだら帰って来れないような気がした

その後のことははっきり覚えていない。きっと子供のことだから気を取り直して
すぐいつものように遊んでいたのだろう。だけど大人になって思い出すと
何とも不思議な体験だった。もう引っ越してしまって今は住んでいないが
まだ団地はあると思う。あの後何度かあの不思議な場所へ行こうと団地中を
探したけれど結局たどり着くことは無かった。

あのとき目にした、目の前に広がる黒っぽいビルとやけに晴れた空が
今でも脳裏に焼きついています。


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