- 629 :本当にあった怖い名無し :2007/06/22(金) 15:36:18 ID:bEzyeqIW0
- ウチは、俺が幼稚園に上がるのにあわせて、引越しをしたのだけど、
この記憶は引っ越す前だから、2歳か3歳のころのこと。
夏か秋ごろの夕立の日だ。
そのころ住んでいたのは、2階建てのアパートの1階。
横に3〜4戸あるような、タイプだったと思う。
自宅の扉を開けると、廊下などは無く、すぐに外という具合だ。
夕立で土砂降りだったので、昼か夕方かわからないほどの暗さだった。
父親が帰宅していなかったので、夜にはなっていなかったハズという時間。
母親はお隣に行ったまま、話し込んでいるらしく、中々帰らない。
外では雷がだんだん近づいてくる。
稲光と音の間隔が短くなってきている。
もちろん子供のころの俺が、そういう風に認識していたわけではなく、
こうして文章にするため、思い出してみると、そういう状況だったのだと思う。
まあ、そういうことで、怖くなった俺は、隣へ母親を呼びに行くことにした。
(続くのである)
- 631 :本当にあった怖い名無し :2007/06/22(金) 15:38:45 ID:bEzyeqIW0
- (続きなのである)
玄関を開けても、隣へ行く程度なら、二階の玄関前の廊下が軒代わりになっているので、全く濡れない。
風もほとんど無かったことも手伝っていたのだと思うが。
でも、玄関を開けて前を見れば、滝のような雨は目に入る。
自分の息遣いも聞こえないほどの、雨音も同じく滝のようだった。
小さくUの字を書くように振り向けば、お隣の玄関ドアだ。
そこへ向かう途中で、雷が落ちた。
と、当時の俺は感じたのだが、実際はどうだったのかはわからない。
何しろ隣のドアに取り付くために振り返った、俺のすぐ後ろに「落ちた」と思ったのだから。
後ろから光が来て、ほぼ同時にズドンというような音がした。
とっさに振り返ると、そこに「人」がいた。
そのときの自分の知識か、後で思い出したときにあった知識かは判然としないのだが、その「人」はインドの修行僧のような姿だった。
頭にターバン状のものを巻いて、褐色、もしくは灰色の肌の痩せこけた姿で、
胡坐をかいて「座禅」を組んでいるような格好だった。
目はつぶっていたと思う。
その人物の顔が、当時の俺の目の高さにあったのに、「目が合った」という記憶が無いから。
不思議なのは、雷が怖いと思って出てきたはずなのに、この時、「雷が落ちた」思ったはずだし、さっきまでいなかったはずの
「人」がそこに座っているのに、「怖い」という感情が無かったようなのだ。
と言うのも、この直後、俺は普通にお隣のドアを開けて
「お母さーん。今そこに、雷さまがいたよ」と報告したから。